こんにちは!
TAC中小企業診断士講座のナゴヤです。

いよいよ本試験日が迫ってまいりました。

今日から1日に複数回、本試験当日まで、
2次試験を間近に控える受験生の皆様に
TAC講師陣から応援のメッセージ
毎日お届けしていきます!

講師からの熱いメッセージを励みに、
2次試験突破を目指して
最後まで頑張ってください!

※今回は江口先生たっての希望により
 全文ノーカットでお送りします。
 


「試練の向こうにあるもの」
江口 明宏 先生(TAC八重洲校:2次直前期担当)

江口先生








事例1

メーカーであるA社は、経路依存性のある生産ノウハウの蓄積
に加え、ノンコア業務のアウトソーシング、他社に先駆けた新
商品の投入によりオペレーション効率を高めて他社の模倣を遅
らせることで成長してきましたが、ITの進展による市場環境の
変化により、急激な売上減少に直面しました。

A社は新たな収益源を確保すべく、これまでとは異なる市場へ
参入することを決意しました。新市場に関するノウハウを保有
しないA社は、取引先金融機関から、老舗企業でもある小売業
G社の買収を勧められました。同時期に、同市場での新鋭企業
のH社からアライアンスの打診があり、A社社長はいずれの手段
を選択すべきか迷いました。

新市場への低コスト参入を果たすには提携による手段がコスト
面で有利であると考えましたが、G社のもつブランドとチャネ
ルが今後A社の競争優位構築に必要な資源であると考え、G社
を買収することを決断しました。

買収後、A社はG社を吸収せずに残し、A社の子会社として運営
することにしました。これは、老舗企業であるG社のもつ組織
文化を残し、A社とは異なる賃金体系残すことで、G社従業員
のモラールダウンの回避を図ることを通じてG社の強みをA社
に取り込むことが狙いでした。

これまでとは異なる新機軸の製品開発が求められる中、A社は
G社の持つチャネルを活用して顧客ニーズを収集し、これを製
品開発部にフィードバックすることで、ラディカルなイノベー
ションに取り組みました。

一方で、多数の非正規社員を抱えるA社では、正社員と同じ責
任を持って職務に従事する質的基幹化が起きています。これに
より、非正規社員の間には不平不満が出ており、A社は公正な
人事制度の導入や非正規社員の正社員登用などにより対応する
ことが求められています。

今後の環境変化はますます激しくなることが予測され、変化す
る環境に即興的に対応できる組織文化が求められ、買収したG
社を含めた組織改革を推進していくことが、A社の持続的な成
長に不可欠な課題となっています。その際には、組織アイデン
ティティを明確にすることで、異なる組織文化が存在するA社
に起きうるコンフリクトを解消することが可能となるでしょう。


事例2

小規模スーパーを複数店舗経営するB社は、海外のオーガ―ニッ
クナショナル・ブランド食品など希少性の高い商品を扱うこと
で地元の固定客を獲得してきましたが、近年インターネット販
売でも同様の商品を購入することができるようになったことで、
売上は減少傾向にありました。

そこでB社は、既存店舗の品揃えの見直しに取り組みました。
これまでは商品カテゴリを狭めて、深い品揃えを追求してきま
したが、B社の商圏の範囲に合わせ、商品カテゴリを拡げて、
浅い品揃えを追求する方針に変えました。さらに、国内の有機
栽培農家と提携して、高価格プライベート・ブランドの開発に
取り組むことにしました。B社のプライベート・ブランドは、
厳選された原材料を使用した商品であり、他店でも同様の商品
の取扱がないことから、威光価格を設定することで消費者の価
格感応度を下げ、需要の価格弾力性を低下させることで高粗利
益率を確保することに成功しました。

B社は業務改善にも取り組みました。人時生産性を求めること
で売り場人員配置の効率化に取り組んだり、B社の店舗のうち、
セルフサービスの店舗レイアウトを見直し、ワンウェイコント
ロールを取り入れることで、買物客の売場回遊を促進して、商
品との接点を増やすことに成功しています。

またB社は、顧客とのコミュニケーションの手法にも改善が必
要であると考え、これまで広告は宣伝部、販売促進のメッセー
ジは営業部、パッケージは製品開発部門と、それぞれに担当者
を決めて各人に一任していたマーケティング活動を、B社とし
てのメッセージを消費者視点で統合することで、B社にとって
望ましいブランドイメージを形成することに取り組みました。

さらにB社は、インターナル・マーケティングに積極的に取り
組むことで、従業員の能力開発と動機づけをすることで、顧客
対応力を高めて顧客関係の強化にも取り組むことにしました。


事例3

金型製造業のC社は熟練職人による技術力が強みです。外注加
工品の納品遅れと担当者まかせの仕掛品の運搬方法等により納
期遅延が発生していましたが、生産計画の見直しと、運搬作業
を計画化と運搬経路を合理化によりこれを改善しています。

また新たな取引先となるY社からの受注に際し、試作品の開発
期間を短縮するために、フロントローディングを取り入れるこ
とにしました。その際、C社は数年前から導入しているCAD/CAM
に加え、CAEを導入することで、試作品を作成せずに実際の耐
久性や堅牢性を評価できるようにすることで、開発期間の短縮
に成功しています。

さらにC社は、研削加工工程における作業を継続的に改善する
ために、標準時間を用いた作業改善のPDCAサイクルに取り組
みました。(1)対象作業の標準作業の設定と標準時間の算定、
(2)実際作業時間の測定と標準時間との差異およびその原因の
追究、(3)標準時間遵守の徹底と生産合理化に向けての作業改
善をサイクリックな仕組みとすることで、C社は生産性の改善に
成功しました。

今後、C社は取引先企業の海外展開を機会として、海外における
技術者の派遣と、今後の現地生産のための作業者の育成に取り組
むことで、C社のもつ強みの維持強化を図るとともに、更なる収
益の改善に取り組んでいくつもりです。


事例4

低い固定費での店舗展開を可能としたD社は、売上高販管費比率
の低さが長所ですが、不十分な投資による店舗の魅力度低下や、
商品種類を拡大したことによる在庫増加を起因として、効率性の
改善が課題となっていました。

近年の経済のグローバル化に伴う経営環境は不確実性に対応する
ために、D社は今後の税引前自己資本利益率の期待値を試算した
うえで、負債返済により財務レバレッジを低下させ、景気変動に
よる収益への影響度を下げ、税引前自己資本利益率のバラつきを
小さくしました。

次にD社は、既存店舗の改装投資を行うに際して、設備投資の経
済性を計算したうえで投資の可否を検討しました。同時にD社の
社長は、今後海外展開を検討しており、このため、国内店舗の一
部をMBOにより現経営陣に売却することを検討し、このために
現在のD社の一部店舗の企業価値をDCF法により求めたうえで、
株式価値を試算しました。

またD社はアジア圏M国への進出に際して、出店の可否を検討す
べく、事前にマーケティング調査を行い、投資規模の大小とそれ
による予想営業CFを試算するディシジョンツリーの手法を取り入
れて検討しました。この際、時間的価値を考慮した上で、いくら
以上の営業CFが確保できれば出店すべきかを試算しています。


以上が平成2×年度の2次試験です。お疲れ様でした。


タフな1日を終えてみてどうでしたか?

普段の実力の半分も発揮できない、消化不良な思いですね。

消しゴム何回も使ったし、あの問題に時間かけ過ぎてサービス
問題に時間かけられなかったし、あの問題では与件の紐付けで
事故ってしまいなに書いたかよく覚えてません。

事例2ではB社の経営資源が対応できなくて慌てるし、
事例3でも助言がわからなくてポエム書いちゃいましたね。
事例4ではあれだけ練習したのに経営分析に時間使いすぎてディ
シジョンツリーで計算間違い。

これ、本試験なのか。
模擬試験だったらよかったのになあ…

当日のイメージトレーニングをしてみると、要求具体化から
編集までシームレスに処理できますが、実際の試験では残念
ですがそうはいきません。

さすがは本試験。
あなたのいかなる努力も準備も訓練も見事に裏切ってくれる
ものです。

試験は、試されるものです。
それは、あなたの中小企業診断士としての資質が試されます。

具体的には1次試験で学んだ理論を事例企業に応用できるか
どうかを試します。

これに応えることができれば、あなたは合格です。

試験は、試されるものです。
それは、あなたが本気でこの資格を求めているのかを試されます。

そのために、あなたの努力を台無しにするような、難しい問題や、
意地悪な問題を用意しています。

これに気づいて耐えることができたら、あなたは合格です。

試験は、試されるものです。
それは、あなたが自身に期待し、その期待を裏切ることなく、
一貫して試練に立ち向かうべく、自分と向き合い続けることが
できるかどうかを試します。

あなたが、あなたという人間を諦めなければ、あなたは合格です。

逃げたくなる気持ちを飲み込んで、一歩前に進もう。
足りない自分を認めて、もう一歩前に進もう。

なりたかった自分は遠い未来にいるようで、実はすでに自分の中に
育っています。
変えられない弱い自分の中に、なりたかった自分が確かに育ち始め
ています。
それを見出し守ってあげられるのは、あなたしかいません。

こんなにつらい気持ちも苦しい思いも、あなた自身が求めた試練
です。
この試練は、これまで経験したことがない多くのプレッシャーを
あなたに押し付けていますが、それは、あなたがより強く、そし
て優しい人間へと成長するために、あなた自身が求めた機会です。

だからもう少しだけ頑張りましょう。
この苦しさを、そのすべてを肯定できるあなたが、少し先であなた
のことを待ってます。


TAC講師、スタッフ一同、皆様の合格をお祈りしています!


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